真昼(まひる)の月(つき)へと
(朝晌午的月亮)
浮(う)かび上(あ)がった
(漂浮而起的)
真(ま)っ白(しろ)に光(ひか)る月光虫(げっこうむし)
(散发苍白光芒的月光虫)
「こころを一房噛(ひとふさか)みちぎって、届(とど)けに行(い)くのだ。」
(「把心咬下撕碎成一串,送去给你。」)
と、いうのです。
(这麼说道。)
グリグリメガネの邮便屋(ゆうびんや)は
(厚瓶底眼镜的邮差)
「おれが伝(つた)える。」
(「我来传信吧。」)
と声(こえ)をかけた
(搭话道)
でも、ひらり
(但却、轻飘飘地)
飞(と)んでったそのあとには
(在飞走之后)
椨(たぶ)の灰(はい)が残(あのこ)るだけでした。
(只留下了楠木的灰。)
烟(けむり)が、また消(き)えた
(烟雾,又消散了)
大人(おとな)に、ならないんだナァ…。
(不会变成大人呀…。)
响(ひび)いた想(おも)いが、夜(よる)を抚(な)でた。
(回荡的思念,轻抚黑夜。)
言叶(ことば)に成(な)れないまま、
(没办法化作只字片语、)
土(つち)に染(し)みて消(き)えるような想(おも)いが、音(おと)を立(た)てた。
(便彷佛渗透泥土消失的思念,低声作响。)
思(おも)い出(だ)せるように。
(为了能忆起。)
呗(うた)え、踊(おど)れ
(歌唱吧,跳舞吧)
泣(な)いたりはしないぜ
(才不会掉下眼泪呢)
闻(き)こえるだろう?
(你听得见吧?)
戻(もど)るつもりは…ないか。
(不打算回来…是吗?)
呗(うた)え、踊(おど)れ
(歌唱吧,跳舞吧)
目(め)を伏(ふ)せたくらいじゃあ
(只是低垂下眼)
隠(かく)せないんだナァ…。
(怎麼可能隐藏呢… 。)
やがて、想(おも)いは渗(にじ)んだようだ。
(终於,思念,渗透一般。)
夜(よる)をかきわけて、赤(あか)い火(ひ)が灯(とも)ったら
(若是拨开黑夜、点亮赤红的灯火)
せめてほら、响(ひび)け また今日(きょう)が来(き)ても
(至少,哪回荡吧、为就算今日来到)
思(おも)い出(だ)せるように
(也能忆起)
响(ひび)いた想(おも)いが、夜(よる)を抚(な)でた。
(回荡的思念、轻抚黑夜。)
言叶(ことば)に成(な)れないまま、
(没办法化作只字片语、)
土(つち)に染(し)みて消(き)えるような想(おも)いが、音(おと)を立(た)てた。
(便彷佛渗透泥土消失的思念、低声作响。)
思(おも)い出(だ)せるように。
(为了能忆起。)
その日(ひ)を超(こ)えられるように。
(为了能跨越过那天。)