ある朝僕が目を覚ますと 消えてなくなってたパラメータ
会社のことも 家族のことも すべてがゼロに戻ったみたいだ
僕はため息ひとつついて いつものようにテレビをつけて
コーヒーを飲み 食パンかじり 流れてくニュースを眺めていた
ある朝僕が目を覚ますと 全部なくなってたパラメータ
彼女のことも 仲間のことも 最初からなかったことみたいだ
僕はため息ひとつついて いつものように服を着替えて
寝癖をとかし 靴紐結び 流れゆく街へと歩き出したんだ
追いかけて 追いかけて 数字だらけの世界で
振り返るそのときに はじめて気づくこと
僕だけに許された 明日を選ぶ権限でさえも
もう誰かに支配されていた
頑張って手にした数字たちは まさに驚くほどカンタンに
この手からスルリとすり抜けて 未来へと滴り落ちてゆく
僕を形造るものは 具体的かつ抽象的で
数字に弱い人間は ほら、この世界では生きてゆけないの
ひとつだけ ひとつだけ この手の中に残った
それすらも守れずに 零れ落ちてしまう
僕だけに許された 僕をやめる権限でさえも
もう誰かに支配されていた
追いかけて 追いかけて 数字だらけの世界で
立ち止まるそのときに はじめて気づくこと
僕だけに許された 今を選ぶ権限でさえも
僕自身に支配されていた
ある朝僕が目を覚ますと 全部元通りのパラメータ
会社のことも 家族のことも 当たり前のようにそこにあった
僕はため息ひとつついて いつものようにテレビをつけて
コーヒーを飲み 食パンかじり 流れてくニュースを眺めていた